よくあるご質問

表具師の仕事にはどんなものがありますか?
書や絵画を紙や布で裏打ちをして補強し、それらにふさわしい装飾を施して掛軸や額に仕立てる伝統技術を表具あるいは表装といいます。その代表は掛軸で、額装や屏風・衝立・巻物・手鑑・画帖・襖・障子などがあり、それらを新しく仕立てたり傷んだものを修理・修復したりするのが表具師の仕事です。
京表具が発達したのはなぜですか?
寺社、宮中、茶道の家元といった高度な表具の需要を大量に生む土地柄であったこと、西陣織や吉野の紙など良質な材料の調達に便利であったこと、寒暖の差が大きく盆地ゆえの風が少ない気候条件などに加えて、全国のおよそ2割の国宝・重要文化財を有する日本美術の宝庫としての環境や、人々の暮らしに息づく美的感覚もまたその芸術性を洗練させたと言われています。
表具がどのような状態だと修理が必要ですか?
「本紙」と呼ばれる作品自体、あるいは裂地や紙などの表装部分に染みや汚れのあるもの、また折れや破れ、虫食い穴のあるもの、本紙の絵の具が剥落したものやその恐れがあるものなどです。これらは自然に治るものではありませんので、状態が悪くならないうちに修理をされる方が結果的に費用も抑えられますので、なるべく早く表具師にご相談されることをお勧めします。
初めて表具を依頼するので費用がいくらぐらいかかるのかわかりません。
残念ながら統一料金のようなものはありません。それぞれの表具師が独自に価格を設定しています。基本的には材料代+工賃ということになるのですが、お預かりする作品が1点1点大きさや内容が異なり、それらの作品ごとにふさわしい表具の形式や裂地などを選択して表装をさせていただきますので、費用について一律に申し上げることはできません。
もちろん事前にご依頼内容をお知らせくださればお見積りさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。殊に修理については実際に現物を拝見しないと傷み具合がわかりませんので、その上でご相談させていただきたく存じます。
表装していただくのに日数はどれくらいかかりますか?
掛軸装の場合、できるだけ長い期間仮張り(裏打ち後に張り付けて乾燥させること)する方が良いとされていますので、修理不要の未装の作品であれば1か月半~2か月ほどみていただきたく存じます。修理の場合は状態によって3か月程度、それ以上かかる場合もあります。但し納期が決まっている場合には可能な範囲でご希望に沿うようにいたします。
額装や屏風、襖などについてもほぼ同じです。
家に床の間が無いのですが、掛軸は掛けられませんか?
掛軸や花などを飾る空間として発達した床の間ですが、住居環境の変化によって床の間の無いお宅が増えてまいりました。その結果、掛軸の需要は減少し、軸装から額装に仕立て替えるケースもありましたが、決して床の間以外の壁面に掛軸を掛けてはいけないということはありません。もちろんお部屋の雰囲気と合わないものではいけませんが、伝統的な表装だけではなく現代的な感覚の表装にも取り組んでおりますので、あきらめずに一度ご相談ください。
軸装にするか額装にするかで迷っています。
それぞれのメリット、デメリットがありますので、一概にどちらが良いか申し上げられません。軸装の最大のメリットとしては、広げた時は大きく立派に見えるのに、巻いてしまえばコンパクトになり、収納や持ち運びに便利であることです。また掛軸は複数の裂地や色々な軸先を組み合わせるので、取り合わせの選択の幅が広いことなどが挙げられます。逆にデメリットとしては、直接空気に触れるので湿度など環境の影響を受けやすいことや、掛けたり巻いたりする際に折れたりしないよう取扱いに気をつかうことなどがあります。一方額装のメリットとしては、前面のアクリル板(ガラス)でカバーされているので本紙が外気やほこりから守られていることや、洋風の空間に合わせやすいことなどがあり、デメリットとしては本紙が大きくなるにつれて額の重量も増すため扱うのが大変になることや、掛軸のように小さくはならないので収納の場所をとってしまうことなどがあります。
厚塗りの日本画等、中には額装にせざるを得ないものもありますが、いずれにいたしましても40年の経験をもとに最適な表装を提案させていただきます。
表装の前に裂地を見せていただくことはできますか?
表具師にすべてお任せいただくことが多いのですが、裂地の取り合わせによって作品の印象がガラッと変わる場合がありますので、ご自分のイメージ通りの表装をお望みでしたら事前に裂地を見ていただくことは可能です。但し、裂地の種類が非常に多く、全部の裂を見てその中から選ぶのは大変な作業になりますので、あらかじめご希望を伺った上でご依頼の本紙に合う取り合わせを当方で何パターンか提案させていただき、そちらからお選びいただきたく存じます。お手持ちの裂地も使用可能なものでしたら取り入れさせていただきます。
遠方からの注文でも対応していただけますか?
喜んでお受けいたします。近県はもちろんのこと、九州や関東、東北地方のお客様、遠くは米国の美術館にも納入実績がございます。お見積りのご依頼だけでも構いませんので、ご遠慮なくお申し付けください。
京表具をまとまった形で観られる展示会のようなものはありますか?
毎年12月の第1金曜日から日曜日までの3日間、京都市の京都文化博物館で京都表装協会主催の「表展」が開催されています。この展覧会は100回以上の歴史を誇り、京都画壇を中心とした有名作家による日本画をはじめとする作品を表装した新作の掛軸や額などおよそ80点を展観するものです。京都の表具師の技術や裂地の取り合わせの妙を一堂にご覧いただけるまたとない機会ですので、ぜひご来場ください。(入場無料)
求人されていますか?
現在採用の予定はありません。